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活動報告

音楽レーベル「飛練音響工業」および関連ブランドのニュースリリースや、今後制作していく音楽などのご報告、楽曲のレビューなどを配信しております。

"作品レビュー"カテゴリーの記事一覧

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  • 「single / your_1」/quo'sストーリービート
    ブランド名「ストーリービート」の名称通り、様々な効果音でリズムを構成し、そこにナレーションを載せていく作品。
    ボイスドラマの一種とも捉えられるが、音楽の一種という捉え方も出来る。
    同様の手法は、北野武監督版の映画『座頭市』などでも使用されている。(こちらは主に効果音でリズムを構成し、それがBGMのテンポと同期するといった内容)
    「ストーリービート」制作者のquo氏ももちろんそうだと思うが、私自身も『座頭市』の表現手法には感動を覚えたタイプの人間だ。

    「ストーリービート」と、それから私が展開する「ソージックシリーズ」は非常に考え方が似ている。
    両者とも、『とうていリズムには使えないであろう素材を使って何とかしてリズム(ビート)を作り出してやろう』というアイデアの基に展開された作品なのである。
    コンセプトは全く異なるものの、その根底は同じである。
    全く異なる人間が、そういった、根底では似たようなものを作り出してしまうという意味において驚くばかりである。

    ひとつ言えることは、私も、「ストーリービート」制作者のquo氏も、そして北野武監督も、三者三様に変わり者ということなのであろう。

    さてこの「ストーリービート」、私もボイスドラマ制作の経験があるがゆえ、やはり似たようなものを想像したことはあった。つまり、『効果音とセリフのタイミングを意図的に合わせていくことで何か新しい面白さを生み出すことが出来るのではないか?』と考えたのである。
    しかしこの考え方は作品として表現することは、私には出来なかった。
    「ストーリービート」は、私が想像したものを遙かに超えていた。
    何故ならタイミングを意図的に合わせていくことを突き詰めた結果、音楽として楽しむことも出来るからだ。ここまで昇華させたことは見事という他ない。

    「ストーリービート」は当然のことながら、なにがしかのストーリーを音で表現しているわけである。
    ストーリーの内容については、ナレーションで臨場感豊かに、そして極めて丁寧に表現される。
    音だけの情報をきちんとナレーションで補完しているため、情景の想像もしやすい。
    具体的な内容については(ネタバレを防ぐ為)ここでは触れないが、音と声の表現上の長所をきちんと活かした仕上がりになっていると感じた。

    惜しむらくは、もう少し全体的な雰囲気の明暗や、音の彩度の抑揚など、織り交ぜたらとも思う。しかしそれはquo氏のコンセプトに反する意見なのかもしれない。

    今後のquo氏の作品展開に注目し、次回作なども楽しみに待っていようと思う。
    「ソージックシリーズ」に近い表現手法であることからも、「ストーリービート」の今後の展開を心から応援したい。

    期間限定ではあるが、下記より作品の鑑賞が可能ということなので、気になる方はお早めに。








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  • 作品感想:「Think Blue Count Two / ELSINOLA」
    アンビエント系を得意とするELSINOLAのM3-2019秋向け作品。
    アルバム収録曲名を順に並べたものがアルバム名となっている。当サークルの作品はどれも、アルバム名と収録曲名の相関関係が面白い。
    1曲目「Think」は、クリーンギターをメインに、左右の定位幅を贅沢に使った作品である。リラクゼーション効果が高い楽曲で気持ちよいが、ジャケット・レーベルデザインからは想像しにくいサウンドである。
    2曲目「Blue」は、エレピ寄りのピアノとパッドによるミックスが大変心地良い楽曲。湖のイメージ。背後で鳴っているシーケンスは、泡のようにも聞こえる。単調にも聞こえるが決して単なる繰り返しではない。様々な音が入っては消え、また入っては消える。まるで刻々と変化する、山あいの湖畔、天候のように。
    3曲目「Count」は、ベルの音が確かに何かをカウントしているようなイントロ。ベル系の音メインで構成された神秘的な楽曲である。リバースベルなども効果的に組み込まれている。南国の印象。途中ではエレキギターと思しき音のリバース音も。とにかくリバース系が印象的に使われており面白い楽曲。
    4曲目「Two」は、パッドのループで始まる。これまでの曲とは一線を画す。コードパターンが2種類ゆえ「Two」ということだろうか?
    5曲目以降は「Count」と「Two」の別アレンジバージョンとなっている。





    作品詳細・お問い合わせは
    https://twitter.com/elsinola
    https://soundcloud.com/user-176035247
  • 作品感想:「MIND MAPS Ⅰ / ELSINOLA」
    アンビエント系を得意とするELSINOLAのM3-2019秋向け作品。
    アルバムタイトルが示すとおり、収録されている全ての曲が『MIND MAP ○○』となっている。
    1曲目「MIND MAP A」は、これぞアンビエント、といった構成。短めだが味わい深い。ノイズ混じりの遠い記憶といったイメージ。
    2曲目「MIND MAP F#」は、ずっとズレ続けるリズムが心地良い。沖縄の深海のイメージ。
    3曲目「MIND MAP C」は、イントロが港のイメージ。イントロ以降はクリーンギターが絡み合う不思議なサウンド。音の圧が凄い。
    4曲目「MIND MAP D」は、メインの音色自体はクリーンギターで「MIND MAP C」と似た印象。命懸けたような印象のギターのボリュームカーブが特徴。暫くまったりとした後に入ってくるドラムはしばしポリリズムを形成し、メインのセクションへ入る。
    5曲目「MIND MAP G」は、こちらもギターのイントロだが、音を重ねてハーモニーを生かした構成。
    6曲目「MIND MAP C13th」は、ピアノとシンセリードの絡みが気持ちよい、月夜のイメージ。途中からストリングスが入るとさらに夜は深まる。





    作品詳細・お問い合わせは
    https://twitter.com/elsinola
    https://soundcloud.com/user-176035247
  • 作品感想:「Am I Digital? / DJ XROAD」
    初音ミクが歌う6曲入りのミニアルバム。3曲入りで、前半は通常のミックス、後半はバイノーラルミックスとなっている。
    1曲目「アイアムデジタルコンテンツ ft.初音ミク」、メリハリのある楽曲構成とアレンジ能力の高さが光る。
    2曲目「Future gate ft.初音ミク」が特に印象に残った。同曲はこの手のジャンルの音楽で3拍子という珍しい構成。音の入れ方、選び方がとても丁寧で美しい楽曲である。
    3曲目「Our place ft.初音ミク」は、壮大なイントロが印象的である。

    後半3曲のバイノーラルミックス、どれも素晴らしい品質の立体音響の世界が広がる。
    私のように立体表現の勉強を始めたばかりの人間とは違い、これまで継続的に立体音響の研究を行ってきた氏ならではの、迫力ある立体音響処理による楽曲が楽しめる。
    自分も立体音響作品の制作に挑戦する身として驚かされるのが、その音圧(音量感)の高さと立体表現の両立である。
    通常ミックスとさほど音量差を感じない中でのこれだけの表現は見事と言う他無い。





    作品詳細・お問い合わせは
    https://twitter.com/endycomposer
    https://dj-xroad.com/
  • 作品感想:「ひよわ電気鉄道駅メロディー集 / ひよてつ」
    京橋ひよわ氏による従来作品を鉄道メロディにアレンジした作品。即ち、架空鉄道の鉄道メロディということになる。
    また当作品には、小冊子「BUNNY HOP 分かった気になれる 事業継続計画入門」が付録としてついてくる。
    両作品を一緒に楽しむことで、より制作者の伝えたい世界観が伝わる仕様となっているように感じる。
    各トラックは、ピアノ音色ではあるもののどこかの駅で実際に聴いたような気がするメロディーと、案内音声がセットになった構成となっている。
    (実際に当作品に収録されているのメロディーは制作者のオリジナルである)
    通過の前半メロディの表現がスタッカートとハネによる構成で、特に印象に残った。シンプルなアレンジの中にもスピード感を感じさせ、通過列車を的確に表現していたからだ。
    10曲目は、日時指定がされたメロディである。とても珍しい設定であるが、案内放送は多くを語らない。これについての詳細は、付録する小冊子の方に答えがありそうだ。





    作品詳細・お問い合わせは
    https://twitter.com/KHiyowa
    https://hiyowa.com/
  • 作品感想:「鉄道唱歌~名松線&萌鉄サントラ / ACTIVEGAMERS」
    コンピュータソフトウェア制作サークル『ACTIVEGAMERS』による珠玉の鉄道音楽作品集。
    初音ミクによる鉄道唱歌のアレンジカバーから当作品は幕を開ける。
    「萌鉄名松線テーマ」では、歯切れ良いジョイント音が楽曲をより一層盛り上げる。
    全国に数多く存在するローカル路線の中でも名松線にスポットを当てた作品は恐らく当作品だけであろう。
    「最終列車を見送って」では、エンディングの哀愁漂うピアノソロが、テールライトがにじむ最終列車の背中と、ホームに佇み手を振る情景を彷彿とさせる。そして音楽が解決されぬまま終わるのが良い。最終列車ではあるが、このか細いローカル線にいつまでも列車が走り続けることを願っているようにも感じられる。
    後半は、名鉄美濃町線のテーマ曲が続く。こちらもイントロ直後に鉄道の音を楽しむことが出来るが、こちらは特徴的な踏切警報器の音とジョイント音のハーモニーを楽しむことが出来る。
    楽曲の中にさりげなく電鈴を組み込む演出がにくい。
    その他、快晴の中を駆けるローカル列車をイメージさせる良曲が続く。
    テーマとなっている路線は残念ながら廃線となってしまったが、当作品を再生することでいつでも脳裏に蘇る。
    制作者による思い入れを凝縮させた作品集である。





    作品詳細・お問い合わせは
    http://www.activegamers.com/
    https://www.youtube.com/channel/UCWW6N0913JW2DyNJC1nXQgw
  • 作品感想:「山手線ずんこ2…になり損ねたEP / やっしーq」
    アルバムタイトル通り、セカンドアルバムを見据えたEP作品である。
    コンセプトは前作『鉄道×パンク×ずん子』を踏襲する内容であり、首都圏の駅をテーマとした歌もの作品である。

    歌詞の内容もこれまで通り、風刺的なものやギャグ的な要素、豆知識的なものまで様々で楽しい。そしてこれまで以上に、曲調の変化や展開が激しい。テンポ変化が激しいだけでなく転調もふんだんに投入されており、ずんこの世界観をこれまでより深く楽しめる。
    是非セカンドアルバムにも期待したい。





    作品詳細・お問い合わせは
    https://twitter.com/yassy_q
    https://www.youtube.com/channel/UCSvmBZrd7sP-IsJI8d7Vf4w
  • 作品感想:「ミッドライト・ランナー」/ムラサキノオト

    がんくま氏率いるボイスドラマサークル「ムラサキノオト」さんの作品。

     

    とにかく、すべての構成する音が綺麗。さすがの品質。

    そして、効果音の配置や付け方が、とても精巧につくられており、かつ自然。

    完成された音空間に思わず引き込まれる。また、一部に立体音響のような表現も感じられた。

    ただ、ごくわずかであるが、「さ」行と「は」行のしゃべりはじめの部分に気になる箇所があった。

     

    最初はよくある恋愛ものの作品かと思ったら、途中から急展開。

    主人公は何を思っただろうか。



  • 作品感想:「L&Eクリエイターズ SOUND COLLECTION」/L&Eクリエイターズ

    飛練音響工業でも相互乗り入れ委託として取り扱いを行っている、L&Eクリエイターズさんの作品です。



    01.Raise The Curtain
     ギラギラとしたギターではじまる印象的な曲。構成は単純だが、シーンを引き締める際に効果的に使えそうだと感じます。


    02.備前の道
     アジアなにおいのする曲。イメージとしてはやはり、アジアの町並みかな・・・?


    03.突然、氷の精霊
     ダンジョン的な雰囲気を感じる曲。そのまま、ダンジョン的なシーンを的確に盛り上げてくれそう。


    04.何かグルーヴ
     グルーヴというかは、こちらは南米ぽさを感じられる。


    05.不思議空間
     フィルターを駆使してこういった音を作っているのか、ちょっと何とも言い難いが、素材として使ってみたくなる曲。


    06.ほのぼのとドンパチ
     猫の鳴き声が微妙に“ソージック”している面白い曲(笑)


    07.カッコつかないね
     これもまたシンセをこねくり回して作ったようなサウンド。後ろで鳴っている犬の鳴き声がシュールさを誘っており、非常に面白い。


    08.我渾身一撃
     自分の中では「トラウマン」というと、この曲のイメージがあります。予告編などでよく聴いた曲ですね(笑)


    09.ハワイアン
     これだけ単純な音で、トロピカルを的確に表現出来ているセンスは、是非見習いたいところであります。


    10.なまめかしい
     予測不可能なバイオリン(?)のメロディーがすごい。一種の現代音楽風楽曲とでも言うべきでしょうか?なまめかしいというよりかは、どちらかというと「不思議」とか「理不尽」といった印象を持ちました。






    11.ひかりの瀬戸際
     なかなか壮大なピアノ曲。効果音が、シリアスさをさらに演出していますね。若干、音が加工されているので、使い方が限定されそうなイメージはありますが、曲の雰囲気によく合っている加工だと感じます。


    12.病室の柔らかな日差し
     ハープ(?)のような音が心地よい、風を感じさせる曲。リバーブ・ディレイ等で色づけをしてやるとさらに魅力が増すと思う。


    13.不可思議面妖な
     フェンリルのにおいがする曲(笑)


    14.お父さんのバラード
     全編通してゆったりとした曲。展開を追う毎に、様々な楽器が入ってきて楽しめる。3曲分くらいの顔を持っている曲。


    15.オムライス
     シャッフルビートが気持ちいいほのぼのとした曲。歌入りです。


    16.星の導き
     この曲が使用されたという作品のジャケットイメージにぴったりな曲。単純な曲と思いきや、なかなか面白い展開をしていく曲です。


    17.さくらの咲くころに
     こちらの曲も、非常に面白い展開をします。そこが聞き所だと個人的には思いました。


    18.砂塵の風
     この曲は、構成が面白いです。個人的に気になったのは、イントロは3拍子なのにも関わらず、イントロ後すぐのAメロからは4拍子になるところですね。


    19.ALL YOU NEED IS LOVE
     こちらの曲はうたものの想定とのこと。是非、うた有りで聴いてみたいですね。






    20.息をあわせて-スタジオ練習
     19秒からの展開は、何を意味しているのでしょうか?非常に独特な展開で気になりました。


    21.街はクリスマス
     クリスマスがテーマの曲ですが、個人的には“夏”を感じました。曲の温度感と言いましょうか。


    22.Joyful Day
     右側にきこえるリバーブが非常に印象的だと感じました。街中、というイメージですね。


    23.新気溢天
     澄んだ青空というキーワードが連想できました。爽やかな曲ですね。


    24.霧幻
     L&Eクリエイターズの亜斗翠さんの生声コーラスかと思いましたが、実際のところはどうなのでしょうか・・・
     そして、やはり展開が面白いです。予想もしなかった楽器が入ってきて、楽しませてくれます。


    25.遠い日
     オカリナとベルの絡みが美しい曲です。


    26.雪の庵
     日本音階の成分が比較的強いような印象を持ち、山奥、といったイメージを持ちました。


    27.雨の虹色車庫教室
     エレピのフレーズがしっとりとした雨っぽさを演出しています。少しおとなしめなサックスもいいですね。
     曲としては、ボサノバ調だと思います。


    28.言えない悩み
     この曲もエレピがメインですね。ベルとドラム(金物)の絡み方が面白く、私のようなフュージョン好きは嬉しくなってしまいます(笑)


    29.結局ドタンバタン
     元気なサックスでドタバタっぷりを表現していますね。やはり、フュージョン好きとしては「おっ!」となってしまいますね。






    30.えっとね
     一転してレトロな雰囲気を感じさせる曲です。


    31.アイキャッチ?
     ブラスの動き方が面白いアイキャッチですね。


    32.どっちもどっち
     30曲目「えっとね」の派生でしょうか?同じようにレトロな印象を持ちました。


    33.ズコー
     曲名の印象よりだいぶ長い曲で驚きました(笑)


    34.締まらないヒーロー
     リズムパターンはかっこいいのに、上ものにコミカルな印象をいだきました。うたの部分がかっこよすぎますね(笑)


    35.本心が知りたい -メインテーマ-
     ウインドチャイムとの絡みが素敵なピアノ曲です。


    36.GAME
     いかにもゲームサウンドという感じで、こういった雰囲気づくりに非常にセンスを感じます。


    37.Cafe
     こちらもボサノバ調ですね。エレピはなかなか複雑な演奏をしていますね。まるで劇中の3人の心情を表現しているかのようです。


    38.アイキャッチ
     こちらもエレピですね。使用された作品の雰囲気に良く合っており、こういったアイキャッチにまで雰囲気を合わせることをこだわる姿勢がすばらしいですね。



    いろんなジャンル・世界観の曲が多数、収録されている為、これだけでも十分に楽しめる。
    サークル様自身による解説記事があり、読みながら聴くことでより楽しめる印象。
    ブックレット内容が充実しているのも嬉しいですね。